吉原彼岸花〜久遠の契り〜 大月忍 感想


さて、吉原彼岸花2人目は飄々としている忍さん。

いつもニコニコしていて明るくて人当たりも良い。正直なところこの手のタイプは裏があるんじゃないかと私は疑いまくってたんですけどもね!全力で土下座です!!!忍さんごめんなさい!!!!!!!


裏表なんてない、とっても優しい人でした。


※ここからはネタバレ注意です!












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*大月忍(CV.間島淳司さん)


武士なんですけど昼間っからふらふらしてるし色んな女の子に声掛けてるしな忍さん。でも全然凛ちゃんに手は出さない。なんならお酒飲んで酔っ払って寝ちゃう。

でもこれお酒じゃなくて中身お水(このお酒は忍が持参)なのでは?と疑った私は正解であった。下戸な忍さんは酔ったフリをしていただけなのです。



個別に入って風邪で倒れた凛ちゃんのお見舞いに来た忍さんとのやり取りで、


「忍さんってば、どうしてそんなに口が回るんですか?」

「うん。実は、朝と晩に茶碗一杯の菜種油を飲んでるんだ」

「だから舌が回るんですか?」

「そうそう……なーんてね!」


というのがあったんですけど、忍さんが人から好かれるのがよく分かるシーンだったな。私まで思わずふふっと笑ってしまった。


この後お見舞いに来てくれたお礼に凛ちゃんは組紐の贈り物をするんですが、自分に宛てたものだと気付いているのかと思ったら全く気付いていなかった忍さんw意外と鈍感??w



ある日のぎっくり腰になってしまったお菊さんへの忍さんの迅速な対応には好感度上がりまくりでした!!!知識もあるし、周りへの指示も的確。

お菊さんを運ぼうとおんぶしたことによって着物が捲れ、お菊さんの臑が丸見えになってしまったのを察知し、若い衆が着ていた半纏を「貸してくれる?」とお願いし、お菊さんに被せて見えなくさせたという神対応。凄いなぁ。


そしてこの一件で忍の好感度が上がったのは凛ちゃんだけでなく助けて貰った当人であるお菊さんもw

忍が来る夜は目に見えて化粧が濃くなり着物の柄も派手になったというw分かる、分かるよ。あんなスマートに助けてくれたらときめくよねwww



蛍が好きで、そのうち見られるといいなと言った凛ちゃんに『いつか一緒に見に行けるといいね』と話した忍さん。

川で蛍を捕まえてきてそれを凛ちゃんのお部屋で放ちます。些細な約束をも覚えていて叶えてくれる忍さんに凛ちゃんが惹かれていくのは自然。

距離が縮まり、二人はこの日初めて口付けを交わします。

簡単に唇を許さない高位の花魁であるはずが、自然と唇を重ねていた。その空気が画面越しに伝わってきました。


「このことはなかったことに…」と忍が言い終わる前に「わかりました」と凛ちゃんは納得しようとするけれど、忍は「なかったことにしたくない」だそうです。




とある日忍さんの父を名乗る重十郎という人物が凛ちゃんの元へ現れます。(実際は本当の父ではなく、家臣)

忍には関わるなと手切れ金を渡す重十郎。しかしそれを受け取らない凛ちゃんに対し、


「忍がどのような人物か知っておるのか?」と聞いてきます。


(-確かに私は忍さんの素性も立場も知らない)


「わっちは……忍さんが、折り紙が得意なことを存じておりんす」


風邪で倒れた時には見舞い、元気付けてくれた忍。

将棋や花札をしても駆け引きが出来ずに全敗し、それでも笑っていた忍。

お年寄りを労れる優しさがあり、蛍のような小さな命を大切に出来る人。

素性や立場を知らなくても、忍さんの優しさにはたくさん触れてきたんですよね凛ちゃんは。


「忍さんはわっちの…わっちにとっての、誰より特別な人でありんす」



そんな凛ちゃんの言葉を聞いちゃってた忍さん。嬉しかっただろうな。




忍は母は桜華屋の花魁、父は大名で家来夫婦に預けられ育ったという複雑な生まれゆえに心からくつろげる場所を持たずに今日まで生きてきたのだろう。

自由奔放に見えて本当の忍は周囲のことを思いやれる気遣いの心を持っている。

それもきっと、幼い頃から苦労をしてきたせいに違いなかった。

出来ることなら、せめて自分といる時だけはそのようなしがらみを忘れてのびのびとしていてほしい。


凛ちゃんのこのモノローグがすごくしっくりきたというか、朔夜ルートでの朔夜を守りたいとはまた違う『この人を守りたい』気持ちだなぁと。




「……名前で、呼んでもいい?」

「え…?」

「千早ちゃんのこと、名前で呼んでいいなら…また来る」

「千早ちゃんの本当の名前…教えてほしいんだ」


遊女の本名を知りたがることは吉原では無粋なこと…だけれど忍さんにそう願われたことで凛ちゃんは喜びを感じていました。



『自分にとって忍は特別で、忍にとっての凛も特別』

『秘された本名を教えることは、その証立てになるような気がしたから』



うう、このモノローグも素敵…。

凛ちゃんの膝の上で忍が目を閉じる描写も、常に気を張る忍が凛ちゃんの傍だと安心している様子が伝わって泣けますね(;_;)



さて、私が一番悶えたシーン。


凛ちゃんと両想いなのだと思ったら嬉しくてにやけが止まらないと片手で顔を覆う忍さん。


「ごめん、見ないで!絶対気持ち悪い顔してるから、しばらくあっち向いてて!」


そんな忍さんの腕に触れ、顔を覆う手を外させる凛ちゃん。


「私は……どんな忍さんでも見ていたいです」

「それに…私も忍さんに、私の全部を知ってほしい…です」


こんなこと頬を染めながら!あの吉原一の花魁が!言うんですよ!!!骨抜きです骨抜き!


「……あのさ。凛ちゃんてば、なんでそんなにいちいち可愛いの?」

「ほんと、駄目だ。これ以上待てない」

「もー……抱かせてください」



ついに!!!!どんだけ凛ちゃんに会いに行っても閨に行っても手を出さずだった忍さんが!!!!凛ちゃんとの本当の初夜を!!!!迎えるぞおおお!!!!


着物を脱がしていく忍に「……手馴れてるんですね」と一言。

すると忍さん照れくさそうに、


「そんなことないよ。これでもいっぱいいっぱいです」



ぬああああ萌え!萌えええ、!!!

ここらへんのセリフは即ボイス保存しましたw間島淳司さんのお芝居が芝居臭くないというか、すごくナチュラルで!

二次元だということを忘れさせられるリアルなお芝居が本当に素敵でした…(/ω\*)



ある時桜花屋に突如現れた一人の女性、葉津さん。この方は忍さんの父の正妻。忍さんとは血の繋がりはありません。故に忍さんへの当たりが強い。忍さんの隣に立つ凛ちゃんを見て遊女への嫌悪感を隠すことなくぶつけてきます。

凛ちゃんの髪に飾られた忍さんの産みの母である白波の形見の櫛を見て激昴する葉津に、「俺に対してはいい、けれど彼女を傷つけることは許さない」と言う。


葉津には旦那との実子がいるのですが、その子は身体が生まれつき弱く成人まで生きられるかも危うい。だから正妻との子ではない忍さんが旦那の後継ぎになる可能性が高いことが彼女は許せない。

ここでのほっとしたところは、彼女の実子である鈴千代くんは清く真っ直ぐで忍さんのことも慕っており兄弟として仲良しだということかな。だからこそ余計に葉津さんが悲しい人に思えてしまいますね…。



この後葉津さんの怒りを受けて泥だらけになった二人はお風呂に入ることになります。落ち込んでいる忍さんを元気づける為に一緒に入ろうと提案する凛ちゃん。これPC版だとここはえろ入りますよね?w

誰も入ってこないよう見張りで辰吉を立たせていたのですが辰吉可哀想すぎるw(´;ω;`)



そして葉津の魔の手が凛ちゃんに襲い掛かります。攫われてしまった凛ちゃんは忍の父と葉津達が暮らす屋敷の蔵に縛られて閉じ込められる。忍さんを誘い出す為の囮、そして人質。


そこに現れた幼い男の子。そう、葉津の子供である鈴千代くんです。助けに蔵の中へ入った鈴千代くんは、忍から凛ちゃんのことは聞いていると嬉しそうに話してくれます。あの母親の子とは思えないくらい良い子。゜(´∩ω∩`)゜。

凛ちゃんのことを姉上と呼んでもいいですか?と言ってくれます。いくらでも呼んでください!!!!w


しかし身体が弱い鈴千代くんは蔵の中で体調を崩してしまう。そんな中で扉の隙間から漏れる油。そして瞬く間に火が燃え上がります。葉津の指示です。

中に鈴千代くんもいることに気付いていない、さらには離れた蔵の為に声を出しても気付いて貰えない。凛ちゃんは必死に鈴千代くんを守ります。鈴千代くんが煙を吸い込まないように抱きしめる。そこに間一髪で助けに来てくれた忍さん(´;ω;`)


騒ぎを聞きつけた忍さんの父上現る。何事かと尋ねた父上に一番に口を開いたのは鈴千代くんだった。母上が千早花魁を閉じ込め、蔵に火を放ちました、と。

止めに入ろうとする葉津に対し、「間違ったことをしたら、きちんと謝らないと」と言う鈴千代くんは本当に良く出来た子です…。

葉津はいつまでも後継ぎを選ばないあなたが悪い!と父上を責める。まぁでも葉津さんの気持ちは分かるとこもありますよね。

旦那は自分が正妻だというのに遊女の女のことを見ていて、ずっとずっと授かりたいと思い続けているのに出来ず、白波と旦那との間には子がいる。ようやっとの思いで授かれた子は病弱で先が長くないかもしれない…。

自分が葉津さんだったら、悔しくて悲しくて惨めで憎むことをしてしまうかもしれないですね…。



迷惑をかけたお詫びに泊まっていってくれと促された凛ちゃん。

父と話をして戻ってきた忍さんから告げられたのは、当主の座を譲る。ただし鈴千代が無事に成人出来た場合はその期間だけ、というもの。

私はそれを聞いて「なんだその都合のいい条件!」と少し怒りを覚えました。そんなの忍さんに対して失礼だろうと。忍さんもこれには賛成出来ないと言います。


でも忍さんが賛成出来ないのは、それではまるで鈴千代に何かあるかもしれないから先手を打っているようで、これを彼が知れば自分が死ぬかもしれないと思われているようで不安になるだろうから。という理由でした。決して自分が代理として扱われるからではないんです。

ああ、どれだけ忍さんは人の気持ちを優先して考える優しい人なんだろうと涙が出ました。



でもその反面、自分が認められたようで嬉しい気持ちもある。自分が必ず守るから、一緒にいてほしいと伝える忍さん。

ただ、自分と忍では身分が違いすぎること、忍の母親が遊女であったこと、その結果忍が受けてきた仕打ちを知る凛ちゃんは身を引こうとします。


「好いた殿方の栄誉栄達を願わない女なんて、いません」

「忍さんのことは……どうか遠くから、幸せを祈らせてください」


凛ちゃんの言葉、実は忍の実母である白波も身請けしたいと言う父に同じことを言っていたのです。


「惚れた男に恥をかかせることを、私が望むとお思いですか」



遊女の子の父親は誰だか分からないことが多いと言われている中で、自分は紛れもなく父上の息子なのだと、惚れた女性の言葉が同じだったことから確信を得るこの展開が素晴らしいですね…。強く、優しい女性に惹かれる父とその子。


凛ちゃんの優しさと想いに背中を押された忍さんは、凛ちゃんを抱きながら身を引くことを受け入れました。




*バッドエンド「指切り」

忍さんと離れた凛ちゃんのお腹には新たな命が宿っていました。遊女が子を産むことは許されないことが殆どなのですが、絶対に産みたいと時雨に頼み込み桜華屋の寮で過ごす凛ちゃん。

お腹の子に「忍さん」と呼びかけ、まだ分からないはずなのに男の子だと思い込んでいます。


忍の子かどうかは分からない、それに忍はあれから当主になり数年前には正式な奥さんも迎えているだろうという時雨にも、「忍はここにいる」と言いながらお腹を摩る。

さらに凛ちゃんは大人用の着物を編んでいたのですが、それは忍さんに編んであげている、もうすぐ会えるのだから…と。

これにはあの時雨さんも「おかしいよ…」とドン引き。あなたが朔夜ルートでやったことにも「おかしいよ…」とドン引きしたけどな私は!と心の中で少し思ったり思わなかったり(小声)


おかしくなってしまった凛ちゃんは笑いながら、今度こそずっと一緒だと、指切り。




*バッドエンド「きっと取り戻す」

7年後。鈴千代くんはあれから2年で亡くなってしまい、正式な当主となった忍さん。正妻を迎え、凛ちゃんは妾として離れで暮らします。


忍さんと正妻の間には国松という幼い子供がおり、凛ちゃんの暮らしている場所へ訪れ二人は仲良くなる。

一方忍さんも時折凛ちゃんの元を訪れるのですが、高価な贈り物も愛を感じるはずの行為も凛ちゃんにとっては罪滅ぼしのようにしか感じなくなってしまう。


ある日、いつものように凛ちゃんの元を訪れていた国松が蛍を見に連れて行ってあげると忍から約束して貰ったと話します。それを聞いた瞬間、忍と正妻と国松が3人仲睦まじく並んでいる姿を想像してしまう。

凛ちゃんはこれまで遊女として生きてきた結果、子供が産めない身体になっていたのです。

川で捕まえた蛍を部屋に放ち、二人で蛍を見て過ごしたあの日を思い返す凛ちゃん。

国松がいなくなれば、身体が弱い正妻もショックで亡くなるかもしれない。そうすれば、忍は自分の元へ戻ってきてくれるだろう。

黒い感情にじわじわと支配されていく凛ちゃんは国松を池に落とそうと手を伸ばす……。


というところで終わりました。この後の描写がないことに安心してしまった…。よかった…。

凛ちゃんが子供を手にかけるところも、それを知ってしまった忍さんが傷つき凛ちゃんを拒絶するかもしれないところも見たくないもん…。うう。




*ベストエンド「ひらひら」

忍さんと離れてから数年後、ついに年季明けを迎えた凛ちゃん。プレイしている側にとっても念願の年季明けです!!!

柚ちゃんが凛ちゃんの跡を継いで花魁になっていました…柚ちゃんファンとしては何とも複雑です(小声)


これまでも何度も身請け話を頂いた凛ちゃんですが、忍さん以上に愛を注げる男の人はいないと全てお断りしてきたと。凛ちゃんの一途な想いに泣けます。


両親が亡くなってしまったことを知り、両親のお墓参りをしに故郷へ戻ることに。

吉原の外に出て歩き出すと、桜の木の下に一人の男性が。折り紙で器用に動物を作るその姿、凛ちゃんに気付きぶんぶんと手を振るその姿は自分がずっと想い続けた忍さんだと急いで駆け寄ります。


凛ちゃんの年季明けを聞きつけ、どうしても会いたくて待っていた忍さん。鈴千代くんが無事に成人した為、大名をやめ、今は若くしてご隠居の身だという。


「お互いもう充分、それぞれの務めは果たしたよね」

「だから、改めて言うよ」

「オレの気持ちはずっと変わらなかった。もう一度、こうして凛ちゃんに会いに来られる日を待ってた」

「今度こそ、凛ちゃんを守っていく。絶対に幸せにする」

「--どうか、オレのお嫁さんになってください」



片膝をつき、真摯な瞳で凛ちゃんを見上げる、あの頃よりも大人びた忍さんの髪にはかつて凛ちゃんが倒れてお見舞いに来てくれたことのお礼として渡した組紐が。



『ここぞ!ってときに使うよ』

『忍さんのここぞって、どういうときですか?』

『そうだなぁ…』

『千早ちゃんの足元に傅いて、将来を誓うときとか』



冗談だと思っていた言葉。律儀に約束を守ってくれる忍さん。嬉しくて、笑顔と涙が溢れる凛ちゃん。


「今も昔も、私が好きなのは忍さんだけです」

「忍さんが望んでくれるなら……どうかあなたのお嫁さんにしてください」



凛ちゃんの返事にはしゃいだ忍さんは凛ちゃんを抱いたまま、桜が舞い散る中でくるくると回る。


「離さないよ-オレだけのお姫様」



一途に想い続けた二人が、やっと一緒になれる。最高のハッピーエンドでした。




✩。* *。✩


朔夜ルートが波乱の展開が多かったので、忍さんルートはわりと心落ち着けてプレイ出来た気がします笑


忍さんはすごく、すごく優しい人でした。多分実際に本作のキャラが近くにいたとしたら私は間違いなく忍さんを好きになってます!!!


母親が遊女ということで周りから心無い言葉をたくさん言われ傷付いてきたはずなのに、花魁として誇りを持って生きる凛ちゃんの姿を見て母もこんな風に生きていたのだろうと、それからは誰に何を言われても遊女の子であることも恥じず、母は立派な花魁だったと思えるようになった、というエピソードが凄く好きでした。


複雑な出自故に逃げてばかりだった忍さんが、凛ちゃんと出会い変わろうとする姿がとても良かったです。



優しい忍さんとのこれからはきっと笑顔で溢れているんだろうな。二人に幸あれ!